認知症ケアの知識も必要

認知症の症状のあらわれ方は人により、また、日によっても違います。加えて、認知症の人の介護は思い通りにコミュニケーションが取れないことから、サービス中に戸惑うホームヘルパーも少なくありません。そして、介護者の知識不足によって起きるトラブルも少なくないため、まずは認知症という病気を正しく理解し適切に対応していくことが重要です。そのうえで、ホームヘルパーにしかできない認知症ケアを目指していきます。

訪問介護の場合、通所や入居の介護と違って、短時間のケアしかできないため、難しい面が多いのも事実です。それでも利用者の生活に触れ、最も近くにいることは、ひとつのメリットになります。少しずつ会話を重ね、認知症という病気に隠れがちな、その人ならではの人柄に触れていきます。部屋の中にあるものをきっかけに利用者のこれまでの人生や趣味、嗜好などがわかると、喜ぶこととストレスになることの判別が可能です。それは、BPSDの予防にもつながります。ただし、一つだけ注意点があり、無理にいろいろなことを聞き出そうとしないことが大切です。

さらに、認知症の症状は少しずつ変化しますので、些細なことでも見逃さないようにすることが重要です。事業所によっては、同じ利用者を複数のホームヘルパーでケアすることがあります。それそれが違った知識で接していると、利用者は混乱します。チーム全員が正しい知識と同じ情報を共有することで、利用者を継続的にケアしていくことが可能です。小さな変化でも、事業所に報告することがチームケアにつながり、ほかの病気に気づくきっかけにもなります。